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[シナリオ]Turning Point 飲食編305 "頑固なこだわり"と"柔軟な発想"で時代を切り開く!

2018.07.01

"頑固なこだわり"と"柔軟な発想"で時代を切り開く!

 

日本料理 美濃寿司(土岐市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ここはJR中央線土岐市駅前商店街にある和食処、日本料理美濃寿司。平日ランチや週末は、大勢の来店客でにぎわい溢れる繁盛店だ。土岐市は美濃焼の一大産地として、また少し前にはアウトレットモールなどの商業施設ができ、外地から訪れる人が多い街。

また、東海環状自動車道が開通して以来、商業施設周辺に一軒家の住宅地も造成され始め、豊田方面からの移住者も増えてきている。飲食店にはそうした来店客も訪れるようになってきており、斜陽産業と云われる陶磁器業界の落ち込みをカバーしている。

街の寿司屋事情としては、回転寿司チェーン店の進出や、ショッピングモールの多店舗展開、スーパーやコンビニの持ち帰り寿司の充実などにより、苦戦を強いられている。全国的には最盛期に2万店あった店舗数は、1/4程度にまで激減している。

2.由 来

美濃寿司は大将の市川幸昌さんが東京で修行の後、1973年?に創業。恵那市出身の市川さんは、当時東濃一の繁華街と云われた土岐市駅前の商店街で、立食い寿司店としてスタートした。「味を握り、粋を握り、心を握る」が市川さんのモットーだ。

美濃焼の産地である土岐市には、全国から陶磁器を仕入れに来る商社が通年大勢訪れていたが、バブルの崩壊や安値の陶磁器産地が海外に育ってきたことなどにより取引高は減り、事業者数も減少の一途を辿っている。そうした中、奮闘を続けているのだ。

その具体的な方策は、東京の料亭で修行して戻ってきた息子が新たな道筋を付けたことだった。全国の寿司店でも一早く情報が充実したホームページを公開。また、毎月企画を立ててフリーペーパーで告知するなどのプロモーションで来店客を飽きさせない。

3.本 題

いち早く時代のニーズをとらえ、変化することで苦難の時期を乗り越え、2012年には大幅に店舗をリニューアルし、新たなニーズにも応えられるように備えた。ガンコ親父の「匠の技」と、2代目の「現代の味」が、これからの美濃寿司を築いていく。

荒波を乗り越えてきた頑固一徹の市川幸昌さんは情に厚く、店舗数が大幅な減少傾向にある寿司業界の行く末に憂慮し、岐阜県鮨商生活衛生同業組合の活動にも積極的に関わり、副理事長職を務めて県内の寿司職人をエネルギッシュに牽引する存在でもある。

鮨商組合では岐阜県を代表する寿司ネタとして、飛騨牛の握りを統一した規格で提供しようと検討を重ね、研修会を開催するなどして、今般お披露目の試食会を開催。安心して食べられるようにローストビーフにした寿司を県内各店舗で食べられるように。

4.解 説

環境の変化は激しく、日本の食文化を代表する、にぎり寿司を個人経営する店舗の多くは苦戦を強いられています。大手資本による回転寿司の多店舗展開や、スーパーマーケットでの持ち帰り寿司の販売の波に押されているのです。

ご覧戴いた市川さんは、徹底したこだわりを持つ寿司職人である一方で、後継者の想いを受け入れ、時代のニーズをとらえて人気の繁盛店を守り続けています。頑固一徹、伝統を守りながらも柔軟な発想で変化を受け入れ、次世代に繋いでいこうと精力的に活動し続けていることが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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