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[全文掲載]書籍「岐阜発 イノベーション前夜」執筆を通して考えたこと(6)

2020.12.10

書籍「岐阜発 イノベーション前夜」執筆を通して考えたこと

(日本生産性本部茗谷倶楽部会報第78号寄稿文)

6/6

三輪知生(経営塾2期)

○ タイトル 岐阜発 イノベーション前夜
-小さな会社を『収益体質に変える』事業のつくり方


生産性出版/ISDN 978-4-8201-2098-8/2020年2月28日発刊

○ プロローグ なぜ、あの事業がイノベーションを創出できたのか?

本書を執筆しようと、なぜ考えたのか。その動機や伝えたいメッセージをエピソードと合わせて記述し、そもそも「イノベーションとは何か」について読者に問い掛ける、本書のイントロダクションとなっています。

○ 第1章 小さくはじめるイノベーション
 -競争優位性を発揮するにはどうするか

イノベーションの必要性が広く喧伝されている。しかし、必ずしも順調に進捗しているとは言えない現状への問題提起として、「前提条件の大転換」と「発想の転換」が本書のメッセージの根幹であることを示します。

○ 第2章 「摩擦」「軋轢」といかに向き合うのか
 -「見えない壁」を壊した先にこそ成功がある


人と組織が変われない根源的な理由とは何か。イノベーションの創出を妨げる阻害要因=制約条件の解消に向けて、これから何に心掛け、何をしなければならないかについて、具体的な事例をあげて説明しています。

○ 第3章 飲食業の小さなイノベーション


CASE 1 株式会社Tri-win(岐阜県高山市) -高山まちなか屋台村 でこなる横丁

スーパーマーケットの廃業に直面した三代目社長が、いかに新規事業に乗り出したのか。立ちはだかる壁をどのように乗り越えたのか。当時、何を考え、そこから何を学んでいったのかについてお伝えします。

CASE 2 中国風食事処 平安楽(岐阜県高山市)-外国人観光客への「おもてなし」

代替わりの頃から飲食店の数も増え客数減に苦悩する中、いかに外国人観光客が殺到する飲食店に変身する事が出来たのか。家族経営で賄う小さな飲食店の成功の舞台裏を明らかにして、「おもてなし」の真髄を探ります。 

○ 第4章 小売業の小さなイノベーション


CASE 3 有限会社夢幸望(岐阜県美濃加茂市)-寝具店 夢幸望ハヤカワ

ショッピングモールや大型量販店、さらにはインターネット通販に押されて縮小や撤退を余儀なくされている街の寝具店。歴史を紐解きながらその逆転劇を俯瞰し、経営者に求められる勇気と決断の重要性をお伝えします。 

CASE 4 株式会社山本呉服店(岐阜県揖斐郡揖斐川町)-店はお客様のためにある

日本人の生活様式の変化から和装の機会は激減し、どの街にもあった呉服店は閉店が相次いでいる。そうした中、多店舗展開での運営を可能としている元気な呉服店の成功の秘訣を探り、経営者の要件を明らかにします。 

○ 第5章 卸売業の小さなイノベーション


CASE 5 合名会社山本佐太郎商店(岐阜県岐阜市)-大地のかりんとう

四代続く飲食店向け調味料(油や醤油)の卸売問屋。大手飲食店のロードサイド出店や、ショッピングモールのフードコートの大規模展開によって、地元飲食店が閉店を余儀なくされて取引先が激減する中での逆転劇とは? 

CASE 6 家田紙工株式会社(岐阜県岐阜市)-カミノシゴト

生活様式の西洋化や電化製品の普及で用途が減り、販路開拓に苦悩する美濃和紙の卸売問屋。いかに自社のヒット商品を生み出し、海外展開にも成功したのかについて、社長の血と汗と涙の結晶とその舞台裏を紐解きます。 

○ 第6章 製造業の小さなイノベーション


CASE 7 鈴木工業株式会社(岐阜県中津川市)-ウォームテックスプーン

取引先が海外に進出し仕事量の減少に悩むプレス部品メーカー。新規事業に取り組もうと四苦八苦するものの、なかなか芽が出ない。そうした苦悩からいかに脱却したのか、思考の呪縛に何があるのかについて言及します。 

CASE 8 有限会社一山製陶所(岐阜県土岐市)-無水調理鍋「セラキュート」

生活食器の7割を生産する美濃焼の陶磁器メーカー。メーカーといえども卸売商社に依存する下請け企業的な位置にあり、安い海外製食器に市場を席巻される中、オリジナル商品をメガヒットに導いたその過程を追います。 

○ 第7章 地方創生の小さなイノベーション


CASE 9 NPO法人ORGAN(岐阜県岐阜市)-地域連携「長良川DMO」

長良川DMOの運営母体のNPO法人。地方創生の鍵は観光が握ると言われるものの、DMOは観光協会の看板書き換えではないかとの指摘もされる中、若い力で着実な成果を上げつつあるその精力的な活動に着目します。 

CASE10 多治見まちづくり株式会社(岐阜県多治見市)-「ながせ商店街」の復興

地方創生は「よそ者、若者、バカ者」が担うと言われ、その体現者であることを自認する商店街振興の第一人者の苦労と熱い想いを紹介し、地方創生の担い手や二代目三代目社長が学ぶべき要素を抽出して要点を示します。 

○エピローグ 地方の「若い担い手の育成」が「活力ある場」をつくる


本書の帰結は、「将来を担う若い人々の活躍がなければ、地域の活性化はない」というメッセージ。これは筆者が考える、分野を越えた広範な領域における現世の実態・実状に向けての直言・箴言でもあるのです。

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