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[シナリオ]Turning Point モノづくり編303 "集中戦略"と"顧客対応"で国内シェア1位!

2018.06.27

"集中戦略"と"顧客対応"で国内シェア1位!

 

タニカ電器株式会社(多治見市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ココは多治見市内のとある、家族4人のごく普通のご家庭。その台所を覗いてみると、そこには見慣れない同じ家電製品が色違いでいくつも置かれている。奥さまにそれは何かと尋ねてみると、その機械では自家製のヨーグルトや日本の伝統的食文化である「発酵食」の数々が、実に手軽に作れるという優れものだとのこと。

ヨーグルトの作り方を聞いてみると… (1) 容器に少量の水を入れて、電子レンジで1分程消毒する。(2) 消毒した容器に、牛乳と市販のヨーグルトをカップ容器分全て入れて混ぜる。(3) 容器をセットしたら40℃に設定してスタートボタンを押す。(4) 7時間後に自家製無添加ヨーグルトが出来上がる。と確かに簡単だ。

この魔法の便利グッズを作っているメーカーは、多治見市に本社があるタニカ電器。日本で初めてヨーグルトメーカーを作ったのがこのタニタ電器だそうで、大手家電メーカーの製品を抑え、現在国内シェアでナンバー1を誇っているという。健康ブームの波に乗り、主婦層を中心として、知る人ぞ知る大ヒット商品なのだ。

2.由 来

当社は現社長の谷口幸子氏の父である谷口文雄氏が1950年に創業した。創業以来65年間、「あったらいいな」をとことん追求する中で、お酒を熱燗にするというニッチな製品を開発。熱燗はあたためる温度が非常に重要であり、飲み物であるが故に熱すぎてもぬるくてもダメ、という非常に温度管理が難しい商品だった。

熱燗に最適な「中途半端な温度」を安定して保つ技術の開発に成功し、その一点に優れているからこそ、タニカ電器の優位性は保たれていると云う。大手メーカーの製品は、いずれも大きな需要の見込める熱湯を沸かすためのポットであったりするので、今でこそ一般に普及したヨーグルトを家庭でつくる装置では先行した。

1971年に日本初のヨーグルトメーカーを製造。しかし当初はヨーグルトを食べる習慣が日本にはなく年間6~8台しか売れていなかったという。しかし、2002年にカスピ海ヨーグルトブームとなり、売上は何万倍にもなった。0.3℃単位の温度制御マイコンを取り付けており、温度変化が非常に少ないのが強みだ。

3.本 題

最新のヨーグルトメーカー「ヨーグルティア」は25℃~65℃に対応し、ヨーグルト以外にも塩麹、納豆なども作れる多機能タイプとなって現在大ヒット中。発酵食ブームにちょうどマッチした商品として、他社の追随を許さないニッチでトップを独走する商品に育った。その秘訣は常に市場の声に耳を傾け続けていること。

葉書で寄せられるお客様の声には谷口社長自らすべて目を通し、商品開発に活かしている。また、ブログやSNSを介して既存ユーザーへメニューやレシピを提供し、きめ細かな対応を心がけている。そうした努力が実り、売上高は7年前の9千3百万円から、6.7倍の6億3千万円へと右肩上がりで順調に伸び続けている。

岐阜のエジソンと呼ばれた創業者の魂を受け継ぎ、大学などとの連携を通した商品開発にも余念が無い。低温で調理して出来るチーズの製造や、甘酒など和食文化の特徴でもある発酵食品の領域に広く対応できる商品ならびにレシピを開発中だ。ニッチな分野でトップを独走する日本のメーカーとして、これからも成長は続く。

4.解 説

大手の家電メーカーは昨今、厳しい国際間競争のなか、合併や買収の荒波に晒されており、改革が急務となっています。安価で高品質な海外製品が台頭したことや、大型の設備投資を伴う高価で高機能な商品の開発に注力しすぎたためです。

ご覧戴いた谷口社長は、一点に優れていることに集中して、磨きをかけ続けました。そして自社商品を知る人ぞ知る、大ヒット商品に育て上げました。柔軟な発想と忍耐強さで市場のニーズに適応し、ユーザーの声を大切に、ニッチな分野に特化して、トコトンやり続けてきたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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