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[シナリオ]Turning Point モノづくり編302 "逆転の発想"と"弛まぬ努力"で過去最高売上へ!

2018.06.28

"逆転の発想"と"弛まぬ努力"で過去最高売上へ!

 

玉川窯業株式会社(多治見市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ここは、多治見市笠原町にある、今年6月にオープンしたモザイクタイルミュージアム。笠原町で古くから作られ続けている、建造物の装飾用タイルの歴史やアート作品が展示されている。また、実際に販売されている商品の展示ショールームにもなっており、新たな観光スポットとして連日にぎわっている。

その一階には、個人客をターゲットとした土産物店がある。小さなタイルの好きな色の数々を選んで木枠にはめてコースターにしたり壁に飾るものや、イニシャルのもの、デザインの凝ったものなど、DIYの好きな人に限らず、多くの人がそれぞれの好みに合わせて、手軽な土産物として買い求めていく。

売り場の一番奥には、内装用に開発された軽いタイルがセットで売られている。部屋の模様替えなどで気軽にタイルを使ってもらおうと開発されたこの商品、発売以来とても好調な売れ行きだ。遠方のお客様でも気軽に買い求められるようにと、今ではインターネットショップも開設され売上を伸ばしている。

2.由 来

このヒット商品(かるかるブリック)を開発したのは、従業員20名で昭和32年創業の玉川窯業。高度経済成長の波に乗り、建設需要が拡大していく中で順調に業績を伸ばし、規模を拡大してきた。タイル貼りの外装で仕上げられた建造物は塗装仕上げの建物よりも高級感があるとされ、好まれてきたからだ。

しかしながら外装タイルの落下が人身事故につながって以来、新築から10年での定期点検が国土交通省によって義務付けられ、危険回避とコスト削減の両面から外壁へのタイル使用は激減した。また、バブル崩壊後には新築物件の着工も減少したことから業績が下降線を辿り、次なる展開を模索するに至った。

この大きな波、業界の下降トレンドをいち早く察知した中島社長は、顧客としてそれまで対象としてこなかった個人客をターゲットとした商品を開発することを思いつく。そして、従来は外装材としてのタイルを、内装材として展開することに目をつけ、DIYブームもあったことからじわじわと浸透していった。

3.本 題

中島社長は、環境のマイナス要因から脱却するために、事業の根幹である(1)顧客(2)商品(3)販路の3つの要素全てにおいて発想の転換を図り、人気のヒット商品を生み出した。過去の成功体験にとらわれ続けることなく、常に新しい付加価値を自社のタイルに見出すべく、新商品開発にも余念が無い。

また、インターネット販売での業績向上を図るべく、弟である中島専務が責任者として陣頭指揮を取り、自社サイトでの販売とともに、大手通販サイトを利用した積極販売も手掛けている。そうした努力が実を結び、不況業種と云われるタイル業界において、過去最高益を叩き出すという快挙を成し遂げている。

さらに、中島社長自身は新たな販路として海外展開にも積極的に取り組んでいる。直近ではタイル需要の高い台湾の展示会に出向いて商談を獲得、またドバイの展示会に出向き注目の新商品が好評を博すなどの実績を重ねている。地場産業の再生に挑む中島社長の果敢な挑戦は、まだまだこれからも続いていく。

4.解 説

タイルメーカーは規模の大小に関わらず、コスト削減から外壁への利用が激減してしまい、逆風の中に立たされています。業界の地盤沈下は激しく、厳しい外部環境の変化に立ち向かう弛まぬ企業努力なくしては、存続が危ぶまれる状況です。

ご覧戴いた中島社長は、これまで対象としてこなかった個人客に向けて、内装用のタイルを開発することで、ヒット商品を生み出しました。逆転の発想と弛まぬ努力で新商品の開発に取り組み、自ら販路開拓に直接乗り出して運命を切り拓いたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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