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[シナリオ]Turning Point モノづくり編105 廃業危機から"不屈の精神"で大ヒットへ!

2018.07.19

廃業危機から"不屈の精神"で大ヒットへ!

 

浅野撚糸株式会社(安八郡安八町)

[全文公開]番組シナリオ

 1.背 景

国産タオルの産地といえば愛媛県にある今治が有名であるが、従来品と比べて吸水性が2倍、ふっくら柔らかで耐久性も高い岐阜県産のタオルが、いま全国で話題となっている。2007年の発売から累計で300万本を超え、テレビの通販番組では一時間で7000万円を売り上げるという大ヒット商品だ。

糸を撚る工程で、水溶性の糸と綿の糸をねじり合わせてから水溶性の糸を溶かすことで、繊維の一本一本が縮れて隙間ができるという独自技術がもとになっている。強度や機能、風合いを高める工夫がなされており、耐久性を保ちつつも肌触りがよく、吸水性も2倍と高機能なタオルが「エアーカオル」だ。

最近では、その技術に磨きをかけ、さらに吸水性を高めたプレミアムブランド「VOGA (ヴォーガ)」を立ち上げた浅野社長。美と健康に意識の高い女性を主なターゲットとして、美肌や美髪のための最高品質のタオルとして、最高で1枚2万円(税別)で百貨店や空港免税店での販売をスタートした。

2.由 来

安八郡安八町にある浅野撚糸株式会社は、1969年に現社長の父親が創業した、糸と糸を撚り合わせて新たな糸をつくる撚糸業。岐阜市近郊はかつて繊維産業で栄え、当社も大企業から注文を受ける下請け業として成長を遂げてきた。しかしながら2000年代になると安価な中国製糸が流通し苦境に立たされることに。

2003年頃から売り上げが激減、従業員を1/3にリストラしてもなお、低い生産コストを求め業界全体が海外に移転していく中で、廃業の危機にさらされた。どうせ潰れてしまうのなら、やるだけやって悔いが残らないないようにと努力を惜しまず、タオルメーカーも巻き込んで不退転の決意で商品開発に取り組んだ。

2年間で4000点も試作するなどの試行錯誤を乗り越えて、偶然も重なって「魔法の糸」は誕生した。発売した2007年6月に売れたのはたったの50枚。しかしながら浅野社長は持ち前のバイタリティーと溢れんばかりの熱い情熱で、諦めることなく訪問営業や展示会出展を続け、テレビ通販での大ヒットに結びついた。

3.本 題

繊維産業は衰退して生産拠点は中国へ、そして仕事は1/3に激減した。そうした中でも当社は1993年頃から複合撚糸の開発を始めていた。伸び縮みするもの、短い繊維や化学繊維などを自由自在に操る要素技術を高めていた。海外では真似のできないオンリーワンの技術で仕事は集まってはいたのだが…

国内では機織りメーカー、ニットメーカーが激減し、それまで糸を買ってくれていた会社が次々と倒産や廃業をしてしまい、どこに売っていけばいいのか途方に暮れ、危機どころかどん底の状態に堕ちていった。先代社長の父親からは廃業を勧められるも、外注企業が設備投資をした責任もあって存続の道を選んだ。

できないと言ってしまえば、そこで終わり。「ではないと言うな、ダメと言うな。」が口ぐせとなり、世界で誰も真似のできないオンリーワンを目指した。新しい撚糸は特許申請に至り、公的機関の支援制度も活用して試行錯誤を重ね、タオルメーカーの協力を得て自社製品を持つまでに育て上げることができた。

4.解 説

国内の繊維産業は衰退の一途をたどっています。メーカーが海外に工場を移転し、安い外国製品が入ってきたことで、産業構造の転換を余儀なくされています。繊維産業に限らず、薄利多売の事業モデルはもう成り立たず、より付加価値の高い商品を作るように、業態をシフトしていかなくてはならないのです。

ご覧戴いた浅野社長は逆境に直面するなかで、オンリーワン技術を打ち立てようと情熱を注ぎ、幾多の苦難を乗り越えて自社商品の開発に成功しました。環境の変化に立ち向かい、ピンチをチャンスに変える不屈の精神と逆転の発想で努力を積み重ねてきたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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