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[シナリオ]Turning Point 飲食編306 "おもてなし"の心で繁盛店に!

2018.06.30

"おもてなし"の心で繁盛店に!

 

中華料理 平安楽(高山市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ここは観光客で賑わう高山市内、飛騨国分寺前に数多くの観光客が訪れる中華料理店がある。外観からは中華料理店には見えない町屋づくりのこのお店、世界各地の外国人がよく利用する観光地の口コミ・予約サイト、トリップアドバイザーの「外国人に人気の日本のレストラン2016」で堂々の日本一に輝いている。

店内を覗いてみると、寡黙に調理に専念する大将の古田洋さんと、店内を忙しそうに動き回り来店客とのコミュニケーションを図る、夫人で女将の直子さんの二人で切り盛りする小さなお店だ。直子さんはお客の一人一人に優しく丁寧な口調の英語で話しかけ、注文を取る以外にもおもてなしの心で来店客を和ませている。

トリップアドバイザーでは、「アットホームで気さくなサービスがとても居心地がいい」との口コミを集めている。また、ベジタリアンの人々から絶賛の口コミが多く寄せられている通り、食事の嗜好や宗教上の理由に配慮し食事制限がある人にも対応したメニュー構成をしていることが、外国人から支持される理由だ。 

2.由 来

平安楽は昭和38年に先代がこの地で創業した。15年ほど前に現在代表を務める洋さんがお店を引き継ぎ、夫婦2人で経営している。先代のつくるラーメンが美味しいと評判の店で、洋さんが引き継いだ当時は外国人の来店は少なく、ほとんどが地元客だった。代替わりして味が変わったことから、離れていく客もあった。

転機となったのは平成17年開催の「愛知万博」。万博の開催以降、多くの外国人旅行者が観光地である飛騨高山にも訪れるようになったことで、高山市が中心となって本格的に外国人の受入れに取り組むようになった。また、平成27年には北陸新幹線が金沢まで開通したことで、北陸方面からも客が訪れるようになった。

インバウンド対応を始める前は地元客が中心だったため、農繁期や雪深い冬の時期は来店客が少なく、売上に波がある ことが大きな課題であった。そこで環境の変化を敏感に察知して外国人旅行者の受入れに積極的に取り組むこととしたことで、客足が弱かった閑散期の集客を底上げすることがでるようになったのだった。

3.本 題

「外国人旅行者に喜んでもらうためには、英語表記や店側からの歓迎の言葉など、ちょっとした準備や心配りを無理のない範囲で行うことが大事です」と語る大将の洋さん。その想いを受けて丁寧に接客する女将の直子さん。全ての来店客に温かく話しかけ、カウンターに座った客同士が会話できるよう心配りをしている。

客に聞いてみると「家庭的な雰囲気がある」「女将さんが素晴らしい」という返事が。メニューや調味料などに、日本語と併せて英語での表記がある。また、食材に制限がある人向けに一工夫も。一つひとつの取組みは小さなものだが、 精一杯の歓迎の姿勢で迎えることが、外国人旅行者から支持される理由になっている。

「これからも今までと変わらず、飛騨高山を訪れた一人ひとりのお客様に楽しんでもらいたい。そして、平安楽にまた足を運んでもらいたい」と、 笑顔で今後の抱負を話す古田洋・直子夫婦。飛騨高山の中華料理店平安楽は、これからも末長く、国籍を問わず、温かいおもてなしで来店客を迎え入れてくれることだろう。 

4.解 説

中小の飲食店は、厳しい環境に晒されており、味が良かったとしても、苦境に立たされてしまいます。大手資本によるチェーン店や、ショッピングモールのフードコートなどの影響を受けているのです。

ご覧戴いた古田さんは、外国人観光客が増えたことをチャンスととらえ、積極的な対話ときめ細やかな対応によって、日本一の人気店を育て上げました。環境の変化に柔軟に適応し、ちょっとした準備や心配りから心温まる接客応対につとめ、人が人を呼ぶ選ばれる店舗を築き上げたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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