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[シナリオ]Turning Point 飲食編205 "突き抜ける発想"で売り上げUP!

2018.07.13

"突き抜ける発想"で売り上げUP!

 

棚橋牧場(揖斐郡池田町)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ここは安八郡神戸町にあるラ・パティスリー・ダリオール、のどかな田園風景の中にあるカフェを併設した洋菓子店。今年2月にオープンして以来、ケーキが美味しいと評判の繁盛店となっている。特に、ここのプリンはキメが細かく、なめらかな口当たりと、コクとまろやかな甘みがあると大人気になっている。

その秘密は、棚橋牧場で製造される牛乳にある。自然の甘みとしっかりとしたコクがあり、その特徴は原乳の新鮮さと殺菌方法にあるとされる。毎日、翌日の生産量に合わせて近隣で搾乳された原乳を仕入れているため、常に新しい原乳を使用して製造し、新鮮で口当たりのよい牛乳を毎日少量づつ出荷している。

殺菌については80℃で15分間という昔ながらの方法を用いることで大手の量販乳業メーカーと差別化、牛乳が持つコクを引き出している。さらに、瓶詰めされた牛乳からは懐かしい温もりを感じ、手や口に瓶が触れた時にはヒンヤリ感、また細くなった瓶の口元からは集約された甘い香りを楽しむことができる。

2.由 来

棚橋牧場の歴史は100年以上前の明治にさかのぼり、初代銀八が乳牛を飼った所から始まる。以降、牛乳の処理、瓶詰めを開始して、一般家庭向けに牛乳の宅配を始めた。現在、牛の飼育は行っていないが、明治から続く屋号を守り、池田町の学校給食をはじめ一般家庭への宅配をメインに、牛乳の製造と販売を行っている。

しかしながら、大手の乳業メーカーによる流通網の充実、大型量販店やコンビニエンスストアの進出によって市場規模が狭められてきた。また、栄養価が高いという従来の牛乳へのイメージが薄れ、逆に人体に良くないといった情報が喧伝され、次第に牛乳離れが若い母親層に広がり、家庭で飲まれなくなる傾向が出てきた。

一般に流通している牛乳は、主に賞味期限を長く維持するために高温殺菌工程を経てパッケージされる。それと引き換えに牛乳本来の風味が落ち、牛乳離れの一因にもなっている。これに対して棚橋牧場では、賞味期限は短くなっても牛乳本来の味を第一に考えた製法を維持しており、濃厚で甘みのある風味を特徴としている。

3.本 題

そうした中、出荷量の減少に危機感を感じていた現代表の棚橋和也氏は、都内での勤務経験ののち家業を継ぐこととなり、大手乳業メーカーとの差別化を図り選ばれる商品に育て上げるために「THE MILK SHOP」というブランド名でロゴもデザインし、若い世代の母親層に受け入られやすいようにビンにもデザインを施した。

パッケージやネーミングでブランディングする一方、ご近所からより一層親しまれる乳業メーカーになろうと工場に併設して最近カフェを開設した。気軽に立ち寄ってもらい、楽しみながら牛乳を味わってもらおうと、牛乳以外にもアイスクリーム/ジェラートやヨーグルトなどの商品ラインアップも充実しようとしている。

また、イベントなどにも積極的に参加するようにしており、自社ならびにジェラート屋さんなどと共同でブース出展し新たな顧客開拓にも精力的だ(18日池田町キャンプ場、24日岐阜駅前)。今後はインターネット販売にも進出し、広く全国に向けて棚橋牧場の美味しい牛乳を届けていきたいと夢は大きく膨らんでいる。

4.解 説

地方の乳業メーカーは、大手メーカーの製品がスーパーやコンビニで入手しやすくなったことやライフスタイルの変化から、規模の縮小を余儀なくされています。また、少子化による給食需要の減少や、新たな健康補助食品が販売されるようになり、若い母親の間で牛乳離れの現象が生じるなど逆風に立たされているのです。

ご覧戴いた棚橋さんは味へのこだわりを大切に、主婦層に受け入れられやすいデザインやパッケージを導入し、支持される乳業メーカーの地位を築き上げました。環境の変化に立ち向かい、自社の強みの親しみやすさを前面に打ち出して、突き抜ける発想でブランド力を高めたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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