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[シナリオ]Turning Point 飲食編106 "強いこだわり"と"原点回帰の発想"で超人気店に!

2018.07.24

"強いこだわり"と"原点回帰の発想"で超人気店に!

 

株式会社恵那川上屋(中津川市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

岐阜でこの季節の銘菓といえば「栗きんとん」。中央道恵那ICから約5分、観光地として有名な恵那峡近くに、一際賑わうお店がある。駐車場のナンバープレートを見ると、名古屋ナンバーや三重ナンバー、遠くは◯◯ナンバーまで。遠方からの行楽客にも人気のお土産物スポットとして有名となっている。

ここは恵那川上屋本社に併設する恵那峡店。中に入ると、大きなガラス張りの明るい店内に今風の洋菓子から個性豊かな和菓子まで、バラエティに富むお菓子の数々が所狭しと展示され、ショーケースにも華やかに飾られている。奥にはイートインスペースがあり、店内で注文してその場で味わうこともできる。

恵那をはじめとする東濃地方では、秋の季節にはそれぞれの家庭の味で、昔は数少ない甘味として栗きんとんが楽しまれてきた。それが1975年以降、中央高速道で恵那山トンネルが開通し交通の便が発達したことから、栗きんとんはその美味しさが評判となり、広く関東や関西でも売られるようになった。

2.由 来

恵那川上屋は、先代社長で現社長鎌田真悟氏の父親である鎌田滿氏が、それまで修業していた中津川にある1864年創業の老舗和菓子店の川上屋から独立して1964年に和洋菓子店として設立した。鎌田真悟氏は高校卒業の後、東京都内や地元 の菓子店舗で修業の後に入社し、1998年に社長に就任した。

鎌田社長は東京での修業時代に、地元の味として食べた栗きんとんが、記憶にある美味しい味とは全く別ものになっていることに愕然とした。地元の栗の生産量が栗きんとんの流通量に追いつかなくなり、数ある和菓子店は大量の栗を全国そして海外から名古屋の卸売市場で購入するようになったからであった。

素朴ながらも美味しいと評判であった栗きんとんが日本全国に広がったことで、もはやその特徴を失ってしまっていた。そして、安い栗を大量に仕入れて栗きんとんが生産されるようになったことで、地元の栗農家は安価な仕入価格に追従することができず、苦境に立たされ生産者は減少の一途をたどっていた。

3.本 題

これに危機感を憶えた鎌田社長は、当時1億円の売上規模に4億円の借金がある大変な経営状態にありながらも、地元の栗農家がつくる美味しい栗を守り抜こうと立ち上がった。無謀との周囲の声を押し切って、市場に流通している栗の価格よりも遥かに高い値段で、生産者から全量買い取ることに踏み切った。

それと並行して、栗の品質を高めようと「超特選恵那栗」の品質基準を整備し、栗博士の異名を持つ指導者のもと栗農家に対して生産性を高める取り組みを進めた。品質を高め、生産性を高める仕組みと仕掛けは農業生産法人の設立に至り、農家が 高齢化して後継者不足のなか安定的な生産量の確保に動いている。

一般的に加工業者は原材料をより安く仕入れたいと考えるが、「素材こそ命、地元の味こそ全て」との強いこだわりで、市場の倍近い値段で買い取ることを決断し実行に移した鎌田社長。今ではその味の良さと品質の高さが評判となり、遠方からも足を運ぶ人々で店舗は溢れ、好業績を継続する優良企業となった。

4.解 説

大手企業が先導するお菓子市場は競争が激化しています。安い調達コストと高い生産能力、そして矢継ぎ早の商品開発力と対抗するために、地方のお菓子屋さんは差別化が求められています。ご覧戴いた鎌田社長は、「素材こそ命、地元の味こそ全て」との強いこだわりから味を追求し、栗を高値で買い取るだけでなく、自ら生産にも乗り出しました。

そして今では、その味の良さと品質の高さが評判となり、お店は遠方からも足を運ぶ人々で溢れ、好業績を継続する優良企業となったのです。環境の変化に立ち向かい、原点回帰の発想で素材と地元を愛するブランドづくりに邁進してきたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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