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[全文掲載]地方創生カレッジ:地方創生リーダーの人材育成・普及事業(1)

2019.12.16

地方創生カレッジ:地方創生リーダーの人材育成・普及事業

(日本生産性本部茗谷倶楽部会報第77号寄稿文)

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三輪知生(経営塾2期)

1.地方創生(内閣府予算事業)とは

本年度は、平成27年度から5年を期間とする、国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の第一期が最終年を迎えます。少子高齢化、人口減少、東京圏への人口の過度の集中といった課題に対応して、将来にわたって活力ある日本社会を維持することを目的として掲げた「まち・ひと・しごと創生法」(平成26年法律第136号)が平成26年11月に施行され、この法律に基いて国(内閣府)が総合戦略を策定し、地方公共団体においては地方版「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定して、地方創生に関する取り組みが進められてきたのです。

内閣府による予算事業としての地方創生においては、三本の矢=「情報」「財政」「人的」の3つの視点による地方への支援が行われています。「情報」の支援としては、地域経済に関する様々なデータを地図やグラフ等でわかりやすく見える化した「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」の提供がなされています。地方自治体が自らの強み・弱みや課題を分析し、解決策を検討するツールとして、まち・ひと・しごと創生本部事務局が提供する、産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約して可視化するシステムです。

「財政」の支援としては、地方自治体の先進的な取り組みを支援する、自由度の高い「地方創生推進交付金」ならびにインフラ整備のための「地方創生拠点整備交付金」があります。地方創生推進交付金は、各府省の個別補助金や効果検証の仕組みを伴わない一括交付金などとは異なり、地方公共団体による自主的・主体的な事業設計に併せ、KPIの設定とPDCAサイクルの確立のもと、自立性、官民協働、地域間連携、政策間連携を軸に交付対象事業を選定することで、従来の「縦割り」事業だけでは対応しきれない課題を克服しようとしています。

そして「人的」な支援としては、自治体首長の右腕となる人材を国の省庁から派遣する「地方創生人材支援制度」、担い手不足に悩む地方の中小企業の人材を、主に都会の大企業勤務経験者の転職を斡旋することによって補おうとする「プロフェッショナル人材事業」、e-ラーニングによる人材育成を目指す「地方創生カレッジ」が展開されています。これら三本の矢のうち「地方創生カレッジ」は日本生産性本部が補助事業者として採択されており、筆者は地方創生カレッジ総括プロデューサーの肩書で、昨年度より事業推進の一役を担っております。

(2)へ続く