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[特別寄稿]中部経済新聞: 岐阜発 地方創生の将来へ(3)

2020.03.23

岐阜発 地方創生の将来へ(3)

 

地方創生カレッジは、地方創生の本格的な事業展開に必要な人材を育成・確保するため、実践的な知識をe-ラーニング講座で提供している。地方公共団体職員や、地域活性化に関与する金融機関、士業などの民間が主たる受講対象者で、必要に応じて官民連携講座などの実地研修を取り入れ、スキルも習得できるようにする取り組みだ。

 

当カレッジは2016年12月に開講した。20年2月末時点で170講座が公開され、毎年公募によって新たな講座が国の予算により開設されている。

 

また、地方創生カレッジを学習した利用者を主なターゲットとして、地方創生「連携・交流ひろば」という意見交換のプラットホーム・サイトが運営されている。これらの事業は、15年12月に公表された国の「地方創生人材プラン」に基づき、公益財団法人日本生産性本部が補助事業者として採択され、実施しているものである。筆者は同本部地方創生カレッジ総括プロデューサーの肩書で、昨年度より参画して事業推進の一役を担い、「連携・交流ひろば」における情報発信や直接的な人材育成に関わっている。

 

地域の一体感を醸成へ

本年度、県内3ヵ所で実施

 

岐阜県内では、昨年度は地方自治体と金融機関を調査対象として、地方創生への取り組みに関する実態調査を実施した。また、本年度は県内3地域(岐阜市・恵那市・養老町)において、「地方創生カレッジ in 岐阜」と題した官民連携講座を開講した。地方創生カレッジの活用促進に向けた講座紹介と合わせて、地域が実際に直面している具体的な課題をテーマに取り上げ、解決の方策を官民が協働して検討するワークショップ形式の講座だ。地域の金融機関とその直系シンクタンクが運営事務局を務めて実施するのが特徴であり、国からの評価も高い。

 

当事業を開催する意図は、地方自治体職員と民間人が地域の課題について共に考え、議論を交わし、共通の課題認識のもとで解決の方策を導き出していく場を創出し、そのしくみの定着を図っていくことにある。そこで、官と民をつなぐ役割を地域の金融機関が果たすことが期待される。多くの地方自治体において地方版総合戦略の策定が外部に委託され、地方創生推進交付金の使途が、実際に直面する地域の課題解決に直結していないと多方面から指摘されている現状を鑑み、意思決定のプロセスに民意を反映する方策を示すことが使命であると言える。

 

官民連携講座

 

今回、岐阜市では柳ヶ瀬商店街の活性化、恵那市では駅前商店街の活性化をテーマに、グループワークに取り組んだ。養老町では地域ブランディングをテーマに、官民が連携して話し合った。いずれの講座も広域から高い注目が集まり、名古屋市内で街づくりに取り組む事業者や、近隣市町の職員や議員らが集い、活発な意見が交わされた。こうした取り組みが地域に定着し、地方創生の明るい将来へ向けて大いに貢献していくことを期待する。

 

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