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[シナリオ]Turning Point 飲食編206 徹底したこだわりで客の心を掴む!

2018.07.12

徹底したこだわりで客の心を掴む!

 

喫茶工房さむ(岐阜市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ここは岐阜市内、岐阜駅から徒歩10分ほどの神田町通りにある丸い小窓と大きな焙煎機に特徴がある「珈琲屋さむ」。知事や市長もバス待ちなどひとときの休息に訪れるというこのお店は20席ほどの小さなお店ながら、11年前にこの場所にオープンして以来、街を行き交う人々に愛され続け、街の風景として根づいている。

珈琲屋さむはコーヒー豆を大手メーカーから仕入れるのではなく、20種類以上の豆を自家焙煎して販売しており、自分に合った豆が見つかるまで400円で何種類でも試飲ができるなど、味へのこだわりが強み。それだけにとどまらず、岐阜市近郊の飲食店に向けて店ごとのオリジナルブレンドのコーヒー豆を供給している。

店内ではコーヒーを様々な飲み方で提供しているほか、誰もが気軽に楽しめるようソフトドリンクも取り揃えている。また、恵那市岩村町にある松浦軒のカステラなど、店主のこだわりで厳選した銘菓や近隣店舗とのコラボメニュー、オリジナル企画の商品など、他では味わえない甘味処としても幅広い世代から支持されている。

2.由 来

自家焙煎珈琲屋さむは、代表の青山知憲さんが神戸市内のコーヒー専門店で修行の後、18年前にコーヒー豆の専売店として神田町に開業した。しかしながら大手コーヒーチェーンやコンビニの進出や、自動販売機による缶コーヒーなど清涼飲料の普及などから、街の喫茶店が次々と閉店していく経緯を目の当たりにした。

自ら培ったコーヒーに関する深い見識のもと、本当に美味しいコーヒーを岐阜でもっと多くの人に味わってもらいたいとの想いから、豆の専売店からその場で飲んで楽しんでもらえる喫茶店を併設することとし、人通りの多い神田町に店舗を移転して現在に至っている。その場でつくる淹れたてのコーヒーの香りが自慢のお店だ。

岐阜市商店街振興組合連合会の理事も務める青山さんは、神田町通りのみならず、柳ヶ瀬や美殿町の商店街との連携も図っている。街に賑わいが溢れて欲しいとの想いから、手作り情報誌の発行に参画し、他店店主とのコラボ商品を手がけている。その一つが、美殿町にある薄皮たいやき屋福丸と作ったコーヒー餡(あん)だ。

3.本 題

餡を作る際に、通常お湯で小豆を煮るところをコーヒーで煮ることにより、コーヒーに合ったオリジナルスイーツの開発につなげている。日頃、自家製の餡で作るたい焼きを販売する福丸の森弘明店主の餡に関する知識と、青山さんのコーヒーに関する専門知識がコラボし、双方の店でオリジナルスイーツとして提供されている。

コーヒーが身近な存在であって欲しいと願う青山さんは、特別な道具や技術を使うことなく誰もができる入れ方で提供し、常に丁寧な接客を心掛けている。また味覚の違う人々がブランドではなく味の好みで本当に美味しいと思えるコーヒーを家庭や職場で楽しんで欲しいとの想いから、常に十数種類の豆を用意し提供している。

さむのコーヒーは、父親が郡上から長森岩戸公園前に移築した古民家で、土日祝日のみオープンするカヤ葺工房珈琲屋さむでも飲むことができる。また、今年6月には徹明通りと劇場通りの角に、コーヒー味のソフトクリームが味わえるぷちさむを開店し、市街地に賑わいを取り戻す交流拠点になりたいとの想いを形にしている。

4.解 説

大手チェーン店による出店や、安価な引き立てコーヒーのコンビニエンスストアでの販売によって、街の喫茶店の多くは経営が厳しい状況となっています。自家焙煎によるこだわりのコーヒー豆の提供や、居心地の良い空間の提供など、選ばれる店としての特徴を明確に打ち出していかなくてはならないのです。

ご覧戴いた青山さんは、味へのこだわりを大切に、地元の人々から愛される店づくりを目指し、誰もが気軽に楽しめる店として中心市街地に定着しています。自ら培った深い見識のもと、気軽に本格的なコーヒーを味わってほしいと願い、人々との交流を大切にしたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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