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[シナリオ]Turning Point 飲食編201 "培った知識と信頼関係"をもとにヒット商品を開発!

2018.07.17

"培った知識と信頼関係"をもとにヒット商品を開発!

 

合名会社山本佐太郎商店(岐阜市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

ここは岐阜市内、柳ヶ瀬商店街にある和菓子屋「ツバメヤ」。自然素材にこだわった和菓子の数々の中でも、ひときわよく売れる人気の商品がある。その名を「大地のかりんとう」といい、普通のかりんとうが大体100円程度のところ420円と4倍も高価なのにもかかわらず、多くの人々から支持されるヒット商品だ。

岐阜県産の小麦を石臼挽きした全粒粉、平飼いの有精卵などの厳選素材を生地として、風味よくあっさり仕上がると評判の米油で、一本一本手揚げするという手の込みようが人気の秘密だ。2012年の発売以来、大々的に宣伝しないにもかかわらず次第に口コミが全国に広まり、今では年間一億円の売り上げを誇っている。

このヒット商品のレシピを開発したのは、三重県出身の和菓子職人「まっちん」こと、町野仁英さん。岐阜市内で業務用食用油を販売する山本佐太郎商店の山本慎一郎社長から、岐阜を代表する新しいお菓子を作りたいとの要請を受けて、油屋で和菓子なら「かりんとう」が妥当であろうとの発想から開発に成功したものだ。

2.由 来

山本佐太郎商店は、食用油など調味料の卸売を主たる事業とした、現在の慎一郎社長で4代目となる明治9年創業の老舗企業である。長年に渡ってお客様との信頼関係を大切にしてきたことから、東海地域の食品メーカーや飲食店など500軒以上の取引先を持ち、かつては右肩上がりで安定的な会社経営を続けてきた。

しかし、チェーン展開するの大手資本の飲食店が進出してきたことで街の飲食店が次第に閉店に追いやられてきたことや、大型量販店やインターネット販売など流通ルートの変化から安価な商品が入手しやすくなってきたなどの理由により、取扱い高が徐々に減少してきたことで、山本社長は危機意識を抱いたのだった。

山本社長は、飲食店などの販売先との強い信頼関係があり、食材についての専門的な知識と調達先を持つという、創業以来培ってきた強みを活かした新たな事業展開として、できることは何かと考えていたところ、和菓子職人のまっちんと出会ったことをきっかけに、自社製品の和菓子を企画開発することに踏み切った。

3.本 題

山本社長がこだわりの厳選素材を調達して、まっちんがレシビを開発するというコラボレーションから生まれた「大地のかりんとう」。その生産を委託するのは、岐阜市内にある社会福祉法人いぶき福祉法人だ。かねてよりマドレーヌやかりんとうを生産する設備を有しており、自社店舗で商品を販売していたことから目をつけた。

岐阜には鮎菓子や栗きんとんなど地元を代表する銘菓があるものの、賞味期限が短く販路を拡大するには限界があった。また、一般に流通している菓子には、日持ちがよくコストを抑えるために添加物や人工甘味料が使用されたものが多く、調味料を販売する者として安心して口にしてもらうには納得がいっていないかった。

「大地のかりんとう」は、抗酸化性に優れた米油を用いて製造工程にも工夫し、酸素透過性の低い梱包資材を用いることで添加物を一切使用せずに90日の賞味期限を確保。パッケージデザインにも工夫を凝らし、百貨店やセレクトショップなどに販路を絞り、選ばれる商品として販売展開して一大ヒット商品に育てあげた。

4.解 説

油や調味料など食料品関係を販売する中小規模の卸売業は、大手量販店の進出やインターネット通販が普及してきたことから売上が減少し、業態の変化を余儀なくされています。また、チェーン展開する飲食店やショッピングモールのフードコートが増えたことで、地元の飲食店の閉店が相次いだことも、山本社長が深刻な危機感を抱いた大きな要因です。

ご覧戴いた山本社長は売上が減少する中で、素材へのこだわりを大切に、想いの通じる和菓子職人や生産工場との出会いから、全国でヒットする自社商品の開発に成功しました。環境の変化に立ち向かい、自社の強みを活かしつつ、足りない要素は他者との連携で補い、突き抜ける発想で商品開発したことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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