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[ 寄稿文 ] 生産性新聞 18.10.25. 京・近江の老舗視察

2018.10.25

持続的競争力研究会

京・近江の老舗視察

企業存続のコツを学ぶ

永樂屋 グンゼ 尾池工業 福寿園

 

日本生産性本部は4~5日、千葉県生産性本部・埼玉県生産性本部・同川口支部・神奈川県生産性本部との共催(関西生産性本部協力)で、持続的競争力研究会の京・近江視察コースを開催した。同コースは、持続的な競争力を有する長期存続企業(老舗)に赴き、経営者・経営幹部から「企業存続の要諦」を直接学ぶことを目的に行われた。

訪問先は、いずれも老舗企業として地域を代表する、滋賀県の永樂屋(彦根工場・彦根市)、京都府のグンゼ(本社・綾部市)、尾池工業(上鳥羽事業所・京都市)、福寿園(CHA遊学パーク・木津川市)の4社。明治学院大学経済学部神田良教授によるコーディネートのもと、活発な質疑応答が交わされた。

永樂屋は、1820年(文政3年)に彦根市で仏壇製造を始めた。彦根仏壇は最も檀家が多い宗派である浄土真宗の宗派に則しており汎用性が高く、広域にわたって受け入れられている。六代目の宮川孝明社長は「競合他社が中国本土に製造拠点を求めて進出するなか、彦根で生産して品位・品格・品質を維持することにこだわり、彦根工場の整備に資金を投入して工程を見える化し、職人の育成に力を注いできた」と話した。

グンゼは1896年(明治29年)の創業。「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐる全ての関係者との共存共栄を図る」との創業時の理念は今日まで受け継がれている。生糸の生産から肌着などの最終製品へ、そしてパッケージの内製に端を発するプラスチック事業は最先端医療の領域へ。「知見のある領域で、自社の強みを掛け合わせ、現業が好調なうちに新規事業を実施するのが原則」とコーポレートコミュニケーション部の小倉誠部長は解説した。

尾池工業は1876年(明治9年)の創業。当社は代々にわたって研究開発に重きを置き、幾多のターニングポイントを経てきた。「三代目社長が真空蒸着装置と巡り合ったことが、その後の事業の大転換点となった。金糸銀糸にとどまらず他社に先駆けて研究開発に取り組み、光るものは全て蒸着に置き換える志向で民生用途から産業用途まで多角化を進め、成長を遂げてきた」と四代目の尾池均社長は語った。

福寿園は、1790年(寛政2年)に茶商として始まった。古き良き伝統の技を活かしながら、コンピューター制御による最新鋭設備で、常に新鮮で風味豊かな茶を一貫生産して販売する。福井正興会長は「お茶は国を越え、時代を超え、世界の人々に幸せな時と場を作り出す」として世界基準のCHA道を標榜し、文化、健康、快適を作り出すティーライフ産業を創出している。