2月
08
2011
ベンチャー企業はなぜ、日本で成長しないのか?
– イノベーション創出時における制約条件の解消に向けて -
大学・研究機関発ベンチャーの成長要因分析

この度、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程(前期課程)において提出した修士論文「大学・研究機関発ベンチャーの成長要因分析」を改題し、加筆修正したものを電子書籍として出版致しましたので、ここにご案内申し上げます。
■ 詳細
天然資源や食糧物資に恵まれないわが国が、今後も経済発展していくためには、付加価値の高い商品やサービスを販売して外貨を獲得しなければなりません。外貨獲得の主戦力であった自動車やIT機器が競争力を失い始めている今日、付加価値の高い新製品を生み出し続けられるように産業構造の転換を図っていく必要があるのです。
こうした社会的要請からもベンチャー企業の育成政策は1990年代後半から施行されていますが、十分な成果を挙げているとは評価されていません。そこで本書では、基礎研究に一定の社会的評価を得て成長過程にある大学・研究機関発の科学技術系ベンチャーを対象に、企業としての成長過程にいかなる制約条件が存在するのかについて考察しました。
ベンチャー企業はなぜ、日本で成長しないのか?
■ 目次
序 章 何が問題なのか
第1章 わが国の産業構造を取り巻く根源的な課題
第2章 大学発ベンチャーに関する文献の整理
第3章 ベンチャー企業の成長過程の事例調査
第4章 事例を通じた考察
第5章 結論と残された課題
■ 掲載アドレス
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1月
27
2011
私(三輪)はこの二年間、ビジネスモデル研究「イノベーション創出時における制約条件の解消」を研究テーマに、名古屋大学大学院経済学研究科 博士課程前期課程に学び、このたび修士論文を取りまとめました。
そのご報告も兼ねて、研究報告書を二回に渡って掲載します。
大学・研究機関発ベンチャーの成長要因分析
-イノベーション創出時における制約条件の解消に向けて-
経済学研究科 産業経営システム専攻
三輪知生
(a)論文提出の目的
天然資源や食糧物資に恵まれないわが国が、今後も経済発展していくためには、付加価値の高い商品やサービスを販売して外貨を獲得しなければならない。しかしながら、外貨獲得の主戦力であった自動車やIT機器が競争力を失い始めている今日、付加価値の高い新製品を生み出し続けられるように産業構造の転換を図っていく必要がある。
こうした社会的要請からもベンチャー企業の育成政策は1990年代後半から施行されているが、十分な成果を挙げているとは評価されていない。そこで本稿では、基礎研究に一定の社会的評価を得て成長過程にある大学・研究機関発の科学技術系ベンチャーを対象に、企業としての成長過程にいかなる制約条件が存在するのかについて考察した。
(b)論文概略
ベンチャー企業が事業を成立させるためには、「死の谷」を越える資金(調達)力が必要であり、「ダーウィンの海」を渡りきるだけの技術力・マネジメント力が必要である。そして、世間の荒波に晒されるなかで艱難辛苦を乗り越えなければ、事業者としての成功を手にすることはできない、と先行研究では指摘されている。
本論では、すでに基礎研究に一定の評価を得て助成金等を受けて「死の谷」を越えたベンチャー企業を取り上げ、どのような課題に直面しているのかについて検証した。
事例の3社はいずれも社会的な評価を得て成長過程にある「勝ち組」(=エース級)の大学・研究機関発ベンチャーである。そうした企業であっても、本格的な飛躍が期待されるとはいうものの、すでに4~6年の歳月を経て今日に至っており、創業後の経緯は順風満帆とは言い難く、「ダーウィンの海」の存在に苦戦を強いられている。
事例分析からはこの段階のベンチャー企業の特徴として、①収益化するまでには長い時間を要する、②普及には市場開発コストを見込まなくてはならない、③事業化の前に資金不足の憂き目に苛まれる、の3つの要素が検出された。これらの課題に対してどのような方策を立てて事業展開していくことで、ベンチャー企業は成長していけるのかについて次のようにとりまとめて結論とした。
(つづく)